言葉で表現できない



『ひとことで言えないものは伝わらない』

みたいなことをビジネス書だかで読んだことがあって、
それを大切にしてきた気がします。


けど、
ひとことで言えなくていいし、
ひとことで伝わんなくていいなって考えにさっき切り替わりました。


「ひとことで伝わってしまう(程度の)魅力をもった人」
ってたぶん魅力的じゃないと思います。


昨日お買い物中なんとなく目に留まった言葉は、
メガネ屋さんの『かけたら分かるつけごこち』でした。


「かけたら分かる」ってことは、
「かけないと分からない」ということで、
文字レベルではつけごこちを伝え切れてないってことです。


どんなマジックを披露して、どんな感情を体験できるのか、
事前に言葉で伝えなきゃ(マーケティング的に)。

みたいなことを長く考えてきたけど、
伝わんなくていいやって感じになりました。


「見て感じて」と。


映画の感動だって、事前に文字じゃ分からないし、
美しい景色を写真に撮ってもどうも陳腐化してしまったりするように。


お仕事の内容、活動内容もまた、
ひとことで言えなくていいなって思えるようになりました。


ひとことで言えちゃうなんてつまらないし。


(言葉で補えない分)
そのために「アート」とか「作品」ってあるんだろうとも思えました。


仕事とかパーティー、時にきっかけは飲み屋さんでとか、
出逢った方々はアーティスティックな方が多くて、

そういうご縁のおかげで
「あー俺もそういうふうに生きたいな〜」
って感化させてもらえました。


彼らのやってることの美しさって、
ビジネスとして伝えようとしてないんですよね(と僕には感じられる)。


アートを魅せて、人を惹きつける。
以上。って感じで。


学生から社会人になった時、
そしてビジネスとかマーケティングとか勉強した時、

「これまでの自分ではいけない」
と思っていろいろやってきました。


勉強したりセミナーに行ったり、特に会いたくもない人と会う約束してみたりして、
なんか仕事に繋がらないかとか考えたり。


好きでもない場所で、おっさん達にマジック見せたり。


そういうのを今はほとんどやってない。


それはつまり肌に合わなかったからだろう。

ほんとはそんなこと望んでなかったから。




周りのアーティスティックな方々が僕に気付かせてくれたのは、
「俺もそっち側にいたい」
ってことであって、

よく考えればそういう出逢いが多かったのは、
僕が本来そっち側の人間だからだろう。




「人の役に立つことをする」
「価値を提供(創造)する」
「ニーズのあることをやる」


ビジネス書に書いてありそうなことを考えて実践した結果、
どんどん僕(の表現)からずれてった。


今分かるのは、
僕の中から湧き上がった何かをマジックとして表現すれば、
それが誰かの役に立つし価値だし、心の栄養になる。
ということ。


ビジネス書を読んでた時の僕の中心は外側にあったけど、
今は中心を自分に置いてる。

コンパスの針は自分に刺している。


外に合わせて生きてきた人はそれが大切だと説くし、
内側を中心にしてきた人はそれが本質って説く。


僕は後者の方が居心地がよかったし、
結果なんかうまくいってる感じがする。




(エンターテイメントとしての)マジックって、
「伝える」という作業なんですけど、

動作や言葉が多くなればなるほど、
それは伝わりやすくなるのと同時に押し付けがましいものになってくるんですよね。


それって上品じゃない。


『松島や ああ松島や 松島や』


みたいに、
抽象的だからこそ読み手に自由に想起させるものがあって、
それが(たぶん日本人的な)美しさなんだと思う。


読み手に想像を委ねるってことは、
読み手の解釈にはある程度の知性があるということを信頼することでもあると思うんですよね。


それも
(海外の文化を知ってるわけじゃないけど、
  日本人の感覚って)
すげぇなって思います。


こう文として書いている時も、
もう少し言葉を補った方がいいかな?
いや書きすぎるとテンポが悪いんだよな、
このままでいいや。


って、ある程度簡潔にして、
テンポとか見た目の印象を優先することがあります。


あらゆる読み手に全てを理解してもらおうではなく、
ある程度の層の人に、
せめてここまでは感じてもらえたらいいやと。


ひとつの映画に対して人の数だけ、感性の数だけ感想が生まれるように、
それでいいやって。


「何としても伝えよう」って力み過ぎて、
本来のバランスを欠いてしまうのが気持ち悪くて。
自分に失礼なような気がして。

ほら円の中心は自分だから。




長くなったけど、

「ひとことで表現できない」

って悪いことじゃないって思えるようになりました。
いいことだって。


それだけ奥行きがあって、魅力が溢れていて素晴らしいことなんだって。


言葉に収まらないから作品や仕事が生まれるんだって。


マジックアーティスト Matty






このままの自分も実は素敵。