想い出を飾るアートとしての『フォーク曲げ』



『フォーク曲げ』って僕にとって難しいトリックでした。


ユリゲラーさんだったりミスターマリックさんだったりDaiGoさんであったり、

おそらく誰でも一度はテレビで見たことのあるパフォーマンス。


あれはマジックとしてのインパクトが強い分、
「キャラ(人としての魅力)」のない人がやると、

完全にマジックに負ける。


人によって定義は様々ですが、
“僕の”フォーク曲げは「マジック」です。


つまり、

「Mattyさん素敵!」ではなく、
「フォークのマジックがすごかった!」という印象になってしまうということ。


服で言うなら、
「●●ちゃん可愛い」ではなく、
「その服“は”かわいい」っていうこと。


僕にとっての『フォーク曲げ』ってそういう存在で、
これまでずっと「Matty」よりも「フォーク」の方が強いインパクトを持ってました。


マジシャンが「マジック」をやってるのではなく、

「マジシャン」がマジックに利用されている

わけです。

だせぇ。


右に立っているのが曲がったフォーク
Photo:Ro-j Chang


ところがあるひとつのアイディアが浮かんだ時、
僕の中で、『フォーク曲げ』はMattyという概念の内側に入りました。


それまでの僕の『フォーク曲げ』は、

・とても不思議なマジック
・お客さんから大きなリアクションをとれるもの
・効果的なマジックでありながらコンパクトに持ち運べるもの

といった位置付けでした。
“ただやっていた”んですね。


そこから、

『Mattyとの記憶を未来に残すもの』


という新しいアイディアにたどり着きました。




『フォーク曲げ』をひと通り終えると、
それはカードを飾れるスタンドになります。


マジックショーの中でサインしてもらったカードを、
フォーク(スタンド)に挟んでおけるのです。


もう少し言うと、
僕がマジックショーの中でお客さんにプレゼントするのは、
サインされたカードだけでなく、

(お客さんに未来を描いて手書きしてもらった)メッセージカードやそれを入れる封筒

もあります。


それらもフォークと一緒に、
お部屋に飾っておけます。




『インパクトあるマジック』
という位置付けから、

『未来へ記憶を刻むもの』


とフォーク曲げのストーリーを変えた途端、

『フォーク曲げ』は

Mattyの世界観の内側になった

ってことです。


自分のものとして演じられるようになったということです。




お仕事でもマジックでも(…人間関係でも)、
『自分』からずれたものってうまくいかないと思ってます、経験的に。


身体がうまく動かないというか、
言葉がうまく続かないというか、
関わっていて違和感があるというか。


そんな時は、

「自分として」そのものとの関係性を見直したいですね。





そして僕が『フォーク曲げ』に対して、
自分なりのストーリーを添えたみたいに、

誰かの大切なもののストーリーを描き直す作業が好きだったりします。


お仕事、キャリア、マジック、心、個性…


人為的に何かしたわけでなく、
自然の流れでこんな美しいかたちになってしまうなんてすげぇと思いました。

僕たちは何をやってるんでしょう。


マジックアーティスト Matty






補  足


◆とりあえず曲げるだけのマジックから、
スタンドという形を作るスタイルに変えてから、
パフォーマンス終了後にお客さんがフォークの形を元に戻してしまう(戻そうとする)、
ということがなくなりました。


◆『名刺を挟めるスタンドになるフォーク曲げ』
というアイディアは前から知ってはいたのですが、
『マジックの思い出を部屋に飾るもの(スタンド)』
もっと言えば、
『夢を実現させるために日々未来の記憶を心に刻むもの』
という発想には至ってませんでした。
微妙な違いかもしれませんが、僕にとっては大きなことでした。