▷Card to Mouthルーティン解説 〜ミスディレクション構築法〜


先日Facebookに、Card to Mouthルーティンをアップしたら、2日かからずに500回以上の再生をしていただきました。

(そのうち20回くらいは僕だと思うけど。笑)

シェアしてくださった方、視聴していただいた方、ありがとうございます!


おそらく…
プロマジシャンの方にも再生してもらったんじゃないかと思ってます。

そこで!

Card to Mouthルーティンのノーカット版も公開して、コツやミスディレクションの秘密を全部見せちゃったらいいんじゃない?
と考えました。


Card to Mouth…
大学3年生から4年生の頃に、あほみたいにやり込んだマジックです。

「これだけは負けない」ってルーティンが欲しくて。

そんなマジックが、まだお会いしたこともないマジシャンさんの参考になって、プラスになるのなら、それってとっても嬉しいことだなと考えて、公開することにしました!



Short version[0:59]



ノーカット version[5:27]

※女の子の名前を言っている部分はカットしてます。




さらに解説してくぜ!!


Card to Mouthルーティンは、Matthew J. DowdenさんのDVD『Party Animal』を参考にしてます。

現象の展開はこんな感じです。


①カードにサインをもらう

②デックを観客にシャッフルしてもらうと、サインカードが口にくわえられている

③サインカードをデックの中へ、観客の指で押し込んでもらうと、再び口にくわえられている

④口に1枚カードをくわえてデックを混ぜると、デックが消える

⑤口に残った1枚は、観客のサインカード

⑥サインカードを観客に渡すと消失し、口にくわえられている

⑦サインカードに息をかけるとデックが出現(増殖)

⑧カードアンダーウォッチ


ウォッチスティールはまたまだお見せできるレベルじゃないのでカット!

ルーティンやミスディレクションの解説をするために、現象に加え、他の動作の流れをまとめると、以下のようになってます。


Aデックを観客にシャッフルしてもらう

①カードにサインをもらう

B観客の手でサインカードをデックへ入れてもらう
Cマジシャンが1回混ぜる

②デックを観客にシャッフルしてもらうと、サインカードが口にくわえられている

③サインカードをデックの中へ、観客の指で押し込んでもらうと、再び口にくわえられている

Dデックをポケットに処理

④口に1枚カードをくわえてデックを混ぜると、デックが消える

⑤口に残った1枚は、観客のサインカード

⑥サインカードを観客に渡すと消失し、口にくわえられている

Eデックをポケットからスチール

⑦サインカードに息をかけるとデックが出現(増殖)

Fシャッフル、マーキュリーホールド

⑧カードアンダーウォッチ





Aデックを観客にシャッフルしてもらう


Matthewさんは、観客にシャッフルさせるのは、(口にくわえる時)1回だけですが、僕は2回です。

観客にカードを引かせる時 or サインしている時、周囲の観客にシャッフルさせています。

これは特に意味がないように思えますが、とても重要です。

何かと言うと…

『②デックを観客にシャッフルしてもらうと、サインカードが口にくわえられている』
この(ミス)ディレクションをより確実にするためです。

事前に一度カードをシャッフルさせておくと、その後で再び
「シャッフルしてください」
とお願いした時に、シャッフルそのものがスムーズになるし、観客の目線もスムーズにそちらへ移動するからです。

これはあなたも実際にやってみたら分かります。



B観客の手でサインカードをデックへ入れてもらう


マジシャンがサインカードをデックへ戻してももちろん問題ないのですが、あえて、観客にやってもらっています。

これもミスディレクションの構築になっています。

『③サインカードをデックの中へ、観客の指で押し込んでもらうと、再び口にくわえられている』
このミスディレクションをより強固なものにするためです。

つまり、『B観客の手でサインカードをデックへ入れてもらう』と『③サインカードをデックの中へ、観客の指で押し込んでもらうと…』とが、同じもの(ただカードを中へ入れる作業)だと錯覚させるためです。



Cマジシャンが1回混ぜる


「この状態から探していきますが、まず僕が1回混ぜます」
と言って僕はシャッフルをしています。

この何気無いセリフに、実は、ミスディレクションが仕掛けられています。

「まず 僕が 1回 混ぜます」
ということはつまり…
「この後で あなたに 2回目の シャッフルをしてもらいます」
と暗に伝えていることになります。

だからこそ、デックを渡した時観客はよりスムーズにシャッフルすることに意識(目線)を集中させてくれるのです!

それによって
『②デックを観客にシャッフルしてもらうと、サインカードが口にくわえられている』
が楽に実現します。


動画ではワンハンドパームをしています(動画に映っちゃってるね。笑)が、両手でのパームでもほとんど問題ないな〜ってのがやってきての感覚です。
ワンハンドの方がマニアは驚くけど。



③サインカードをデックの中へ、観客の指で押し込んでもらうと、再び口にくわえられている


サインカードをアウトジョグして中へ入れるように見せる時、“わざと少しあやしげに見せる”ようにしています。

すると5回のうち3回のくらいの確率で、観客に
「それさっきの(サインされた)トランプですか?(すり替えてませんか?)」
と突っ込まれます。

こう言わせることで、「マジシャンの方からカードのフェイスの確認作業をした」のではなく、「観客のご要望によってフェイスを確認した」というスタンスをとれます。

これによって、ここでのムーブがより自然になります。
だからこそ口に楽にくわえられるようになります。

(この意味よく分からなかったらスルーして!笑 文章じゃ伝えにくくて)



Dデックをポケットに処理


『③サインカードをデックの中へ、観客の指で押し込んでもらうと、再び口にくわえられている』
ここで口にくわえられたカードを示す時は、マジシャンにとって右側の観客→左側の観客という順にします。

左側の観客にカードを示す時、身体はやや左向きになります。
つまり、デックを左ポケットへと処理しやすくなります。



④口に1枚カードをくわえてデックを混ぜると、デックが消える


デック消失は、デック処理後(時間的に)すぐはやりません。
タイムミスディレクションを効かせるためです。

タイムミスディレクションについてはこちらの記事をご参考に
『
ミスディレクション・オフビート・ルーティン構築』

また、僕はあえて、身体の右のあたりで消失させています。
左ポケットから距離をとることで、どこに隠したのかがより推測されにくいように、です。

袖もまくるようにして、変な疑いが生まれないようにしています。



⑤口に残った1枚は、観客のサインカード


裏向きのカードを表返す時、カードの表を徐々に見せていくようにしています。

今回の場合だと(マジシャンから見て)右側の観客→左側の観客へとゆっくりカードを表返してます。

これは、リアクションのより大きな人(今回の場合近くにいる女の子)に、先に悲鳴を上げてもらうためです。

1人が大きな声を出したり拍手してくれたりすると、それにつられて他の観客も同じようにしやすくなるからです。



⑥サインカードを観客に渡すと消失し、口にくわえられている


トムストーンさん(好きです♡)の、ジャンボコイン消失のハンドリングのように、カードのフェイクパスをしてます。

今回は、フェイクパスを割としっかりと(女の子に)見せて行っていますが、オフビート中に行っても充分不思議がられます。

つまり、フェイクパスそのものをしっかりと見せなくても、
「今日の思い出に差し上げます…」
という言葉と差し出したマジシャンの手があれば、“そこにサインカードがあるんだろうな”と観客は思い込んでくれるということです。

これも言葉じゃうまく伝えにくいね。。
分かんなかったらスルーでOK!



Eデックをポケットからスチール


『Dデックをポケットに処理』
を逆再生するイメージで、ポケットからデックを取ってきます。

(今回の動画では、ポケットにデックが引っかかったために、ちょっと荒いスチールになっちゃいました)

ポケットからスチールしたら、左手は一度お尻のあたりに押し付け、デックを隠しておきます。



⑦サインカードに息をかけるとデックが出現(増殖)


口のカードを右手で取り、息をかける動作で左手のデックを合わせます。

スプリングをすると、その音と共にデックが復活(出現)したように見え、驚かれます。


Matthewさんは、デックを消失したまま演技を終えています(だったと記憶してます)。

元々僕もそう演じていたのですが、ポケットにデックが入ったまま終わるって、現場では難しい点がありました。。
(あなたもやってみたらすぐに分かります)

「だったら、消失したデックを再び出現させたらいいんじゃない?リセットも完了するし!」
と思いつき、出現現象にアレンジしました。



首・あごの角度とカードの面について


Card to Mouthを成功させる秘訣のひとつに、首・口の角度によるカードの面があります。

姿勢をよくした状態で口にカードをくわえると、その時のカードの角度は、観客にとって見えにくくなっているはずです。
(観客の目線に対して、カードがほぼ一直線になっているため)

なので!
観客に口のカードに気付かれたくない段階では、カードの面を悪くし、気付いてもらいたいタイミングでは、カードの面を良くして見やすくしてあげます。

カードの面を悪くする・良くするとは、首を曲げたりあごを引いたりするということです。

この時、首を曲げ過ぎて猫背気味になるとダサいので、まじダサいので、くそダサいので、キモオタク感満載なので、死んだ方がいいので、猫背にはせずして首やあごで調整するイメージです。



間の取り方


慣れないうちは、
「早く(速く)口にくわえないと、早くくわえないと」
と考えたり、焦ったりしてしまいがちです。

が、ゆっくりで大丈夫です!
意外とバレないもんです。

ゆっくりやると、オフビートの瞬間が分かってきます。
焦らず、オフビートの瞬間を見極めて、カードを口に運んでください!

たしか過去の偉大なマジシャンもそんなこと言ってたよね?



終わりに


クロースアップ、ストリート、テーブルホッピング、スタンディング…

お客さんをうならせてきた僕の大好きなマジックです。

サロンでやったこともあります。
観客の1人にステージでマジックを手伝ってもらい、ペーパーボールズオーバーザヘッドのように、1人だけ現象を追えてない(タネが分からない)というギャグっぽいマジックとして。


ここに書ききれてないこともあるんですが、

「僕が現場でやってきたCard to Mouthのミスディレクションのメカニズムを解説することによって、これを披露できるようになるのはもちろんのこと、すでにやっているマジックにおけるミスディレクションが進化したりいいアイディアが浮かんだりするんじゃないか?」

と思うようになり、大切な秘密を公開することにしました。

仕事の調子がほんとによくなかった時、僕はマジックを全部捨ててしまおうと考えてました。

だからこそ、僕のやってきたマジックやミスディレクションの理論が、世界のどこかのマジシャンに力を与えて、新しい魔法として息を吹き返してくれるのなら、それって最高だなと思ってます。

あなたのカードマジックやクロースアップマジックのヒントになれば幸いです。


シェア大歓迎です!


マジックアーティスト Matty