CDの包装を丁寧に剥がす時の高揚とマジックの習い方 〜葉桜の季節〜

マジックレッスンをやってきて、「こういう人にはもうやりたくない」というのがふと明確になった。

男の人向けのレッスンの場合、その目的は大きく2つに分かれる。

①まじでモテたいからマジックを身に付けて自分に変革を起こしたい 〜いつかのMattyタイプ〜

②なんかすごいことやって人の気を引きたい 〜下心変態おやじタイプ〜



僕はおやじの気持ちを分かろうと思ったけど、分からなかった。
おやじになったことまだないから。
(分かりたくないだけかも)

②の場合、マジックのプロセスを愛してない。

例えばイチロー選手のプレーに憧れて、
「俺も観客からキャーキャー言われたいッス。
でも走り込みだとかキャッチボールとか、そういう面倒なのはいいんです。
とにかく盗塁を決めたりヒット打ったり、レーザービームでランナーを刺したりしたいッス」
って発言をしてるようなもので。

「ウケればいい」
「すごそうなことやりたい」
言葉でそう言ってないにしても、マジックを習う態度がそう語っているのを感じるうちに、嫌になった。


僕は元々①出身だ。

アホみたいに練習していた時期があった。

数年前久しぶりに実家の机の引き出しの中のトランプを取り出したら、それは汗臭かった。

スゴいものを形にするそのプロセスも愛してないような人にはもう、僕のマジックを届けたくない。

僕のマジックと、過去の僕にとても失礼な気がして。
(さらに言えば同業の方にも失礼だ)


『最近カセットテープが密かなブーム』
ってな記事を、先日ネットで見かけたんですがその中で、
『テープをラジカセに入れて再生ボタンを押す、その行為が音楽と向き合っている。』
というような解説がされていました。

確かに、iPhoneとかWALKMANで音楽を聞く時って、それは“サブ”としての音楽であって、“移動”とか“部屋掃除”とか“作業”というメインに添えられるものになってる。

「iPhoneに好きなアーティストの音楽をダウンロードして再生ボタンを押す」
のと、
「好きなアーティストのCDをショップに行って買って、家に帰って手を洗って包装を丁寧に剥がして、プレーヤーにそっと入れて蓋を閉じる。
機械が円盤を読み取るあの音がする間歌詞カードを丁寧に取り出してやっと、音楽が流れ出すというプロセス」
では、向き合い方がまるで違う。


僕はなんかそんな感じで、
「軽い気持ちでとりあえず」
「ないよりはいいから」
って感じでやられるマジックはお伝えしたくないんですよね。

「寂しいからとりあえず掴んだ彼氏」
みたいな、本命じゃない感やなんですよね。

手汗とか気にしながら、手を繋ぐところからどきどきしたいんですよね。

(話逸れてきてるね)


これまでは求められればとりあえずマジックを教えるというスタンスだったんですが、それじゃあ僕の魂が悲しむので、そういうのやめようと思いました。

魂でぶつかってきてくれる方にだけ、僕の魂のマジックをお届けします。


マジックアーティスト Matty
Photo:Ro-j Chang


P.S.

タイトルに「葉桜」を入れたのは言葉あそびです。


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